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僕が会社を辞めたわけ(1)
僕が会社を辞めたわけ(2)
僕が会社を辞めたわけ(3)
会社の問題あり、現場の問題あり、様々な要因で人は会社を離れるものです。そんなわけで新しい会社にやってきました。
ここは、ソフト開発系のエンジニアが多く、ネットワークに関してはノウハウも仕事も少ない様子でした。ネットワーク関係が弱いから、そこを強化していきたいという話は理解できるように思いました。
ただ一番問題に感じたのは、営業たちがネットワークの業務というものを理解していなかったこと。よく彼らはインフラエンジニアという言葉を使いましたが、これは何かというとネットワークとサーバ系を一緒にした、いや混同した言葉なのでした。つまり、ネットワークの仕事もサーバ構築の仕事も、彼らのフィルタを通すとインフラと言う言葉に変換され、両者の区分はなくなります。
最初の仕事は、サーバ運用がメインだけどネットワークの仕事もあるという現場でした。既存の現場への増員ということであまり心配はありませんでした。いざ、現地で説明を聞いてみると、なるほどメインは業務基幹サーバの運用保守でネットワークの仕事はほぼ無いようでした。実際にネットワークらしき仕事としてはUnixサーバへのフィルタ設定の追加ぐらいで、iptablesファイルの編集なんてサーバエンジニアで対応できることだし、ネットワークエンジニアが出るまでもない、いや今までそんなファイル触ったことないわ!ということは100%サーバの仕事だな。やれやれ。
そんな現場も人員削減のため1年で終了になり、次はようやくネットワークの設計に。と思ったら一緒に請け負った仕事がネットワークの運用保守だったために、気が付けば自分も設計から外され、他の部下たち(自社の協力会社)と一緒に運用保守をする羽目に。自分は通信キャリアの経験があるのに、ビギナーがするようなネットワーク監視をさせられ、時には入るはずだった設計チームから素人相手のような雑な扱いをされ、その他いろいろありましたけど妙なストレスの溜まる現場でした。
そんな現場も元請けの大チョンボのあおりを受けて3ヶ月で終了(後から人が足りないから延長してくれないかと言われましたが、丁重にお断りしました)。次は何だ?サーバの仕事?これが悲劇の始まりだったとは。相手先の面談で話を聞いているとどうもサーバの話しか出ない。にもかかわらず担当営業(こいつがとんでもないクズだと分かるのはかなり後でした)が大丈夫ですと安請け合いしてあっさり決まりました。
お仕事はサーバの設計でした。今度はWindowsサーバです。名前は聞いたことあるなという程度のシロートに任された仕事は、サーバの設計、具体的にはOSのバージョンアップに伴う機能の検証と設定の見直し及び実装でした。それを聞かされた瞬間???となったのは言うまでもありません。しかもWBSを更新して進捗を報告せよと言われるも、何をすればいいのか分からない状態で全くお手上げでした。常駐先の担当者(リーダー)は忙しそうでとても質問できるような空気ではなかったし、そもそも何を聞けばいいのか分からない!ルータのコマンドが読めないやつにいきなりBGPの環境を構築しろと言ったらきっとこんな感覚になるんだろうな。
最初の1週間は地獄でした。いや、その後も地獄でしたけど。混沌の1週間をなんとかやり過ごしましたが、週末にはたまらず営業に連絡しました。「この仕事は無理です!」それに対する返答は、「そうか、まあがんばってね」というなんともふざけたものでした。やつの人間性を知っていれば納得したかもしれませんけど。その後も何をしていいか分からず途方に暮れる毎日。社食などがなく、お昼に連れて行かれる高い食堂での食事が財布に響きましたが、それよりも毎日の業務がとにかく苦痛でした。何をどうしたかもはや記憶がありませんけど、案の定倒れました。無駄に我慢強いことは時にデメリットになる、そう悟りました。
仕事は当然休職になったわけですが、ここの営業は無神経なのか成績に追われているのか次の案件探しに引きずり回されました。いつ復帰できるか分からないのに、そういう対応が症状を悪化させるかもしれないのに、こいつらダメだなと遠ざかる意識の中で何となく思ってましたが、なんとか次の現場が決まりました。今度はやっとネットワークの設計です。通勤は大変だけどようやく自分に適した仕事が回ってきた。と初めは喜んでおりました。
仕事の内容はよかったんですが、現場の人たち(元請けでもある)に少々、いや結構クセがあり、それに悩まされた印象もあります。ここも案件を複数抱えてそれを回している現場なのですが、それを担当しているのはプロパーで、我々のような下請けはそれをサポートする役どころとなります。そのため、こちらは仕事の分量や状況が読めず、来た仕事をこなすだけとなります。これは結構きついです。今まで工程管理はあまりしてなかったとは言え、チームの作業は決まっておりだいたい今はこんなフェーズです、残りこんな作業がありますというのは見えていたのですが、今回はそれがない。複数の案件があり、それを把握しているのは担当のプロパーだけなので。しかも、成績(売り上げ)みたいな指標があり、それに向かって躍起になっているからろくに説明もしてくれません。しかも、必要な情報を握り込んでいて、聞けば教えてくれるが案件の全体像が分からないので聞きようがない。しかも成果物のレビューでそれを突っ込んできて答えられないとなぜ分からないんだと怒る。理不尽もいいところです。それでも、ネットワークの仕事だからと我慢して続けていたのですが。
そんな状況の中でもどうにかやってましたが、理不尽な案件リーダー(とりあえずそう呼んでおきます)のせいでついに限界が来てしまいました。その仕事は他部署から回ってきたのですが(経緯は当然ながら分かりません)、システムの更改作業の手順書を作ってくださいというものでした。依頼元でヒアリングをして資料を受け取り、作業にかかったのですが。ここで理不尽リーダーが理不尽を発動します。手順書に体制表がない。機器にアクセスするIPアドレスがない。よって、この手順書は不備があるからダメだ。とおっしゃるのです。確かに普段の継続案件ではこちらがシステムの内容を完全に把握して(客先からほぼ全権委任されてますので)、そのようなデータは揃っていますが、今回は他部署からの依頼で手順書というか手順の概要を作ってくださいという依頼です。細かいデータの掲載などは依頼されていないし、いただいたフォーマットにもそのような記載はありません。にもかかわらず理不尽リーダーは、データが足りない、これではダメだと強弁するのです。話し合ってもご意見は変わらないようでした。そんなこんなである日の長時間に及ぶレビューという名の拷問の後、ついにキレました。もう無理だわ。ということで2度目のお休みになったのでした。
さすがにこれではいけない。年に1回のペースでリブートしていては仕事にならない。しかも、ここのポンコツ営業はネットワークとサーバの区別も付かないやつらばかり。ネットワークを強化すると言いながら彼らは勉強しているのか。ただ社長に叱責され目の前の数字しか見ていないような営業は信用ならない。そう結論付けました。できれば、自分がネットワークとサーバの違いを懇々と指導してあげたかったのですが、遠くの現場にいる以上それも叶いません。例によってお休み中ながらまたしても担当営業が次の案件探しましょうみたいなメールを寄越してきたので、キッパリともうこんな会社ではお仕事できません、ごめんなさいと正直に告げました。
そうだ、ここの会社を紹介してくれた今はマネージャとなった彼とのお話し合いがありました。あなたは何を言っているんだ、なんで辞めるなんて言うんだ!?と迫る彼にハッキリと言いました。ここの営業は未だにネットワークもサーバも区別が付いてないじゃないか。またインフラの仕事ですとか言って訳の分からない(語弊がないように補足すると自分は門外漢であるという意味です)サーバ仕事をやらされてはたまったものではない。それに1年に1回倒れるなんて,どんな仕事の取り方をしてるんだ?と、駅前の居酒屋で押し問答を繰り広げておりました。酔っ払いのケンカよりはややマシな程度ですかね。それでも、ネットワークを強化したいという要望のために会社のサーバに役に立ちそうな遺産を残していったので、そんなに文句を言われる筋合いはないのではと思います。本当は若いエンジニアたちにネットワークを教えて、勢力を拡大したいと思っていたんですよ。アホな営業が明後日の方向を向いた案件を持ってこなければ、実現したはずなんですけど。
自分に仕事を辞めても生きていけるほどの蓄財があればいいんですけどね。それもないのに辞めて大丈夫だったのか?実は、昔の仲間とのつながりというのが多少なりともありまして、その集まり(飲み会)の場で悲惨な現状を話していたところ、昔いた会社の営業と連絡が取れるから聞いてみたら、と言われていたのでした。そんなわけで飢え死にすることもなく、失業保険をもらうこともなく、何とか生きているわけですが。
誰も自社から入ってくるわけでもなく(ネットワークに対する関心の低さでしょうか)、仕方ないので他社の若手に熱血指導をしておりました。教育自体は好きなんです。理不尽な扱いに怒る理由もそれと多少は関係があるかもしれませんね。通り一遍の説明だけで、ローカルルールだらけの現場の仕事をそつなくこなす新人なんているわけないだろう。しかし、悲しいかなそんな甘えた考えを持つ業界人は案外多いのです。
現場レベルでの入退場の話はもっと細かくなりますけど、書くのも大変だし(どこかで書いた気もする)、複雑だし身バレも心配なので(別に構いませんけど)、気が向いたらどこかで書きます。