実録ブラック企業

最近ブラック企業というのが話題になっていますね。特に不景気になるとそういうのが増えてくるようです。好景気で待遇のよい会社があれば当然そちらを選びますが、景気が悪く簡単に転職、就職できない、そんな時の受け皿(?)なのかもしれませんが、正直ブラックな会社に入るぐらいなら無職の方がマシなんではと思います。

自分も今の業種になる前のハ○ーワークにお世話になっていた頃に、そういう会社に遭遇したことがあります。最初の会社をクビになって(その時もいろいろありましたけど)、一念発起して結構業界では人気のある資格を取得しましたが、経験値のなさで(と言うより未経験でしたが)あっさりとお断りされることが続き、たどり着いた先がそのブラック会社でした。入りやすいことだけが取り柄ですね。

当時は社会人経験も浅かったので、そんな会社もあるのかと思ってましたが、今から思えばトンデモナイ会社でした。以下に、自分が経験したあり得ない(尋常な会社であれば)経験を書いていきます。これらに当てはまる会社はブラック企業と判断して間違いないと思います。でも昔のことだから、いや今でもありそうな気はするな。

  • 健康保険がない(未加入)
    福利厚生は悲惨でした。ほぼ無かったと思います。厚生年金がないのは小さい企業だから仕方ない?いや、それも問題なんですけど、国民年金があるのでまあいいや(よくない)。それだけではありません。健康保険もない。これはさすがに困る。ということで社長に聞いてきました。すると、衝撃的な答えが返ってきました。
    「忙しいのに手続きしてる暇なんかあるか!」
    え?これ模範解答なの?有限会社でも社員数40人ぐらいいますよね?この時点で労基署に行くべきだったと思うんですが、当時はそんな知恵はありませんでした。
    雇用保険は途中から付きました。「キミが頑張っているからご褒美で付けたんだ」ウソつけ。雇用保険に関しては非常用社員の加入が義務づけられたからだろうが。
  • 昼休み(休憩時間)
    社長(略しようがないので社長です)が言いました。「労働基準法で1時間の休憩時間を設定しないといけない。だから勤務時間から1時間の給料を引けるんだ。」おい、ちょっと待て。労働基準法には1日に1時間の休憩時間が義務づけられていますが、それは勤務中に昼食などの自由時間を与えるという意味で、拘束したまま1時間の給与を払わなくていいという意味ではないぞ。この人やべー人だなと思い始めた時でした。
  • 残業代
    当然、残業代(時間外手当)というものもありませんでした。「うちは単価が安いからその分時間で稼げ」なんてフツーに言われてそうなのかと思ってましたが、何時間働いても時間数×時給しかもらえません。深夜手当なんてものもなく(自分の場合は22時以降の勤務は基本ありませんでしたが)、休日出勤なにそれおいしいのという世界でした。ちなみにアルバイトでも法定労働時間を超えて働く場合は残業代(割増)が付きます。
  • 休日とは?
    ある時社長が言いました。「いいかい、仕事のない休みの日というのがあるけど、それは休んでいいんじゃない。待機してるだけなんだ。」ゑゑっ!なんですって?!確かにシフト勤務で突然穴が開いた(急病人など)時に、急だけど来てくれないかということはありますけど、そのために仕事がない日は家にこもって電話を待っていろと?旅行に行くなんてもっての外!あまり本気にしないことにしました。付き合いきれんわ。
  • 給料を払いたくない?
    社長も結構フランクな方で(決して褒めているわけではありません)、いろいろと楽しい本音を語ってくれました。その中でも印象に残っているのは、「本当は給料なんか払いたくないんだ」というお言葉でした。この人は会社経営をなめている。それは随所に感じられましたが、誰が好き好んでお前のために無償労働を提供するんだよ?何のメリットもないぞ!と呆れるしかありません。これでハ○ーワークに求人を出しているんだから、何を考えているのやら(当然ハ○ワの職員も含めて)。
  • 正社員(正規雇用)?
    社長がある時言いました。「キミは正社員なんだから。」上記の事柄から考えても明らかにおかしいんですが、時間給(残業、深夜、休日手当なし)、厚生年金、健康保険もなし、そんな正社員なんているんですか?どうもこのオヤジは正規採用=定期的に働いているという考えのようでした。決まったシフトで時間給で働くのが正社員ならコンビニの店員なんてみんな正社員だよ。自分の勉強不足を恥じるしかありません。

こういう会社が社会的に存在を許されるなんて、そしてそんなク○会社に世話にならなければならない自分っていったい。と悩みもしました。ですが、頑張って仕事に打ち込んでいれば、捨てる神あれば拾う神ありという言葉もあるように、救い主が現れました。雑談の中で自分の悲惨な状況を話すと、「なんだよ、その変な会社は?そんなところなんか辞めてウチへ来いよ!」となんとも勿体ないお言葉をいただきました。その呼んでくれた会社は、厚生年金、健康保険はもちろん、残業代も休日手当もある、なんと労働組合もあるという大きな会社でした。それでも給料が大きく増えることはありませんでしたが。

自分にとって、ブラック企業はあまり嬉しくない、そして望ましくないですが、新しい業種への入口だったように思います。でも、ちゃんと労働条件などを見てまともな会社に入るべきだと思います。そしてやはりハ○ーワークはダメだわ。まともな企業はお金をかけて人材を募集します。無料で真偽不明の求人広告を出せるところは、例え公共施設でも信用ならない。それが社会勉強の結果得たものかもしれません。