羽越本線、花輪線、石巻の旅(JR東日本株主優待券の旅)(前編)

0.はじめに
去年もらった株主優待券を使わないまま年が明けて、使用期限が迫ってきた。使用期限に追われるのはあまりよろしくないが、やはりここはラストチャンスのゴールデンウィークの旅ということになる。有休の残りも微妙だが、何とかねじ込めるだろう。行き先は、今回も東北方面。本当は五能線に乗りたかったのだが、GW時期だと混みそうだな。夏休みの方が分散されるからよさそうだと判断し、少し手前を回ることにした。結果的にはそれがよかったかもしれない。

1.プランニング
いつもなら、東京都区内(上野なり新宿なり)から出発して、大回りして最後新幹線か何かで経路がぶつかる大宮に帰ってきたわけだが。今年は3月に常磐線が全通した。そして、あの懐かしの特急ひたち仙台発上野行きも復活するのである。ん?品川行き?そうか、上野東京ラインのことを忘れていた。これに乗ろう!久々の仙台発上野品川行きの特急に乗ることにした。

ということは、東京(都区内)発はできないことになる(できなくはないがきっぷが煩雑になる)。そんなわけで、今回は出発地を大宮にした。これで経路が重なることはない。ただし、大宮までの回送が発生するけど。東京都区内を避けるとなると大宮方面の発駅が川口または浮間舟渡以北となるが、中途半端な駅から出るよりは新幹線停車駅の大宮の方がすっきりするだろう。

上越新幹線で新潟に上がり、未走破の(駅メモ上では)羽越本線新津~新発田間を通り、さらに秋田から北上して,大館から花輪線に入る。盛岡からは仙台に向かって南下するが、時間があるので石巻経由にしてみた。そして,仙台からは特急ひたち号品川行きで戻る。よって、今回の経路はこうなった。

大宮~(上越新幹線)~新潟~(信越本線)~新津~(羽越本線)~秋田~(奥羽本線)~大館~(花輪線)~好摩~(IGRいわて銀河鉄道)~盛岡~(東北本線)~小牛田~(石巻線)~石巻~(仙石線)~仙台~(東北本線)~岩沼~(常磐線)~日暮里(金町から東京都区内)~品川

いつもよりはひねくれていないコースだと思うのだけど。それでも尋常なコースでないのは認める。

2.きっぷを買う
まずは指定券から。前回は区間を間違うという痛恨のミスがあったが、今回は無事に指定券を確保できた。上越新幹線の方が料金が高いので、こちらを株優割引の対象にした。もう一方のひたちは今流行りの(?)チケットレスにした。スマホから申し込みできるので、家にいなくても特急券を確保できる。しかも割引キャンペーン中につき300円安くなる!

さて、いつものことだが最大のイベント乗車券購入はというと。4月某日。株主優待券と窓口備え付けの申込用紙、えきねっとの予約済み画面のプリントを握りしめて(実際に握りしめたわけではない)、みどりの窓口へと向かった。混んでいたらびゅうプラザに行こうと思ったのだが、空いていたのでみどりの窓口へ。

アイテム類を窓口に出す。「大宮から東京の乗車券ですね」不安がよぎる。そんな近距離きっぷ、しかもSuicaで済むような区間のきっぷをわざわざ窓口で買い求めるやつなんているか?そんなものに2割引の切り札を出すやついないだろ。よく見てください、と記事欄を指す。そこには、過去の経験から導かれた完璧な(と自分では思っている)経路の指定が!「大回りですね?」そうだよ。

時刻表の索引地図を見ながら、駅員さんがマルスを操作する。が、いきなり壁にぶつかる。長岡から新潟は区間が重複するので、きっぷが分割されますよ。をいをい、チミは何を言っているんだ?上越新幹線は、長岡から新潟までは燕三条を経由するため、在来線とは別線として扱われる(旅客営業規則第16条の2第2項)。こんな基本も知らんのか?でも経路が重複しますね!と自信たっぷりに言われる。ウソつけ!上越線・信越線経由で打ったんじゃないの?

確認しますと奥に下がり、戻ってきてやはり経路が重複するのでできません、と言うので時間もないし、旅客営業規則(JR東日本のですよ)のサイト画面を見せて、これでもできないのか、と問い詰めるとまた奥に下がっていった。大丈夫か?(大丈夫じゃないな)。で、ようやくそこは理解したようであったが。

さらに進むと、「うーん、好摩から先の区間は発券できないですね。ここからは別の乗車券になります。」なんだと!?こんなこともあろうかと思って、JR東日本お問い合わせセンターに電話して確認を取ったのに。その時も相当時間と電話代がかかったけど(JR東日本の株主優待券について問い合わせてみたを参照ください)。ここが通れないと、今回のプランは成立しない。まさにクリティカルパスなのである。

ぐぬぬ、これ以上粘ってもラチがあかないし、いつの間にか後ろに行列ができてるし。やむを得ん、一時撤退だ!「じゃあ、また経路を検討してみてください」と笑顔で送り出される。しかし、何のためにお問い合わせセンターに電話して、長々待たされて通過連絡運輸旅客営業規則第68条第1項(2)だな。(2)当社と通過連絡運輸を行う鉄道・軌道・航路又は自動車線が中間に介在する場合、これを通じて連絡乗車券を発売するときは、前後の旅客会社の区間の営業キロ又は擬制キロを通算する。)のウラを取ったと思ってるんだ。窓口で断られたら、クレームの電話入れるぞ、と思っていたらまさか本当にそうなるとは。というわけで、またお問い合わせセンターに電話する(電凸?)。日頃電話することがあまりないので発信履歴からすぐ見つかった。

☎プルルル、プルルル、はい、もしもし、菊水館でござい、そんなことはどうでもいい。
自分(以下、甲とする)「すみません、先日株主優待券の扱いについて質問した者ですが、」
お問い合わせセンター(以下、乙とする)「はい、」
甲「経路の途中で第3セクターなどの路線が入っても前後の区間を合算してきっぷを発行できるとこちらで確認をしたのですが、駅の窓口で発行できないと言われました。」
乙「具体的な経路をお教えください。」
甲「経路途中ですが、大館から花輪線で好摩まで、好摩から盛岡までIGR線、盛岡から東北本線で東京へ向かう経路です。」
乙「盛岡からは新幹線のご利用でしょうか?」
甲「はい、まあ(どっちでもいいんだけど)。」
乙「確認にお時間がかかりますので、恐れ入りますがお客様のお電話番号をお教えください。」
今回は本格的だな。いや、前回もそれに相当する時間保留されたから、電話代がかからないだけマシか。

駅前で待つこと数分。お問い合わせセンターから折返しが来た。
乙「お待たせ致しました。その場合は、第3セクター区間の前後の区間の運賃を合算してきっぷを発行できます。」
甲「そうですか、駅の窓口でその場合は好摩までで、その先の区間は発券できないと言われたのですが。できればその場合のマルスの操作方法も教えていただけますか?(この質問は失敗だったか?)
乙「ちなみにどちらの駅でしょうか?」
甲「はい、○○駅のみどりの窓口なんですが、」
乙「承知致しました。少々お待ちください。」
そして、保留音が流れる。次はどうなる?
乙「お待たせ致しました。確認を致しました。先ほど株主優待券で乗車券を申し込まれた方でしょうか?」
甲「そうです(キリッ)」
乙「駅に確認した結果、その場合も発券はできます。駅の者とおつなぎしますので、直接お話しください。」
えっ?!気が付けばちょっと大事になっていた。もしかしたら、クレーム対応みたいな感じで進んでいたのかも。

で、さっきの駅員さんとお話しして、ちゃんと希望通り発券できることは分かった。先ほどの窓口に戻ると何だか謝罪された。指定した経路で乗車券が発券できればこちらとしては不満はないのだが、駅員のレベルがやはり低すぎる。窓口を担当する以上は旅客営業規則をきちんと理解していないといけないし(第何条まではさすがに自分も覚えてないけど)、路線もちゃんと把握していないといけない(最低限東日本管内ぐらいはね)。読み方間違ってる所も不安だったし。

あの駅員さんもたぶん本社に特定されただろうから、さらに追い打ちをかけるのもかわいそうだな。でも、議決権行使書には一通りの文句は書いてやろうかと思った。通過連絡運輸はあまり出ないだろうが、いや、IGRの盛岡~好摩間とか、しなの鉄道の長野~豊野間とか、えちごトキめき鉄道の上越妙高~直江津間も?該当箇所はいくつかあるな。新幹線と在来線が並行する場合は基本的に同一路線扱いだが(旅客営業規則第16条の2)、並行在来線にない駅がある区間は別線扱いになるという規則も知らないとは。世の中にはプロである(はずの)駅員を凌駕する素人がいることが分かってもらえれば、それは一つの勉強になるだろう。自分も駅員との幾多の戦いを経て、旅客営業規則を必死に勉強して、対等に渡り合えるように力を付けてきた。だから、自分の知識には絶対的な自信がある。が、今回は相手が弱すぎた?いや、その前に窓口担当としてこのスキルはどうなの?代わりにマルスを打ちたくなる気持ち分かります?

あ、そうだ、出てきたきっぷはというと、やはり非自動化券。経由線区が10を超えると自動化券では対応できなくなるので。ただし経路は全て印字されている。ということは10線区扱いなのか?IGRはJRではないのでカウント外なのだろうか。

2020株優のきっぷ

やべえ、変な所でページを食ってしまった。中編に続く。

しかしだな、みどりの窓口では過去にも色々あったけど、今回は今までの中でも記憶に残る場面であった。関東以外の路線を把握していない駅員は時々いるけど、旅客営業規則をマスターした人があそこに座るものだと思っていたので、衝撃ではあった。今回の経路はまだマシな方だけど、もし本気出してベテランの駅員でも頭を抱えるような規則の盲点を突いたきっぷを頼んだらどうなるのだろう。最近、JRは鉄道会社からの脱却とか総合サービス企業(笑)とか言ってるけど、鉄道会社として必要なサービスも提供できないくせに、背伸びしたって失敗するに決まっている。高輪なんとかいう粗大ゴミを作ったりするのも、そういう驕りが原因しているのではないだろうか。しっかり地に足着けて、鉄道会社としての本分を全うしていただきたい。

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