バス特の思い出

関東圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)のバス会社には、かつて共通バスカードなるものがありました。それが、PASMOに移行するとかで、その割引(プレミアム)を引き継ぐ形でバス特(バス利用特典サービス)なるものが適用されておりました。ですが、それもある時を境にICカード(PASMO)の普及に一定の役割を果たしたなどという全くもって理解不能で理不尽な理由により廃止されてしまいました。

唯一残った都営交通(都バス)についても9月30日限りでこの制度が廃止され、都営交通に限っては独自サービスのToKoPoにシフトされることが発表されました。前回投稿では、バス特を廃止した事業者を書きましたが、結局全廃という結論でしたね。訂正してお詫び申し上げます。

そもそも、バス特の前身の共通バスカードは一定額の事前購入によってプレミアを与えるものでした。5000円のカードを事前に購入すれば850円のおまけをあげる。そんなお得な制度と言いますか、共通回数券のようなものでした。それが、PASMOに移行されバス特になり、表面上は同じ制度を引き継いでいるように見えましたが、実際は改悪だったと記憶しています。

共通バスカードであれば、期限は存在せずいつ利用しても5000円に対して850円のプレミアが付きました。ところが、バス特では1ヶ月の利用に対して1000円ごとにプレミア(バスチケット)を付与し、5000円分利用すればトータルで850円のプレミアを付与するという制度に変わりました。これが実はくせ者で、月が変わればそれまで4990円分利用していてもリセットされ、先月の利用がなかったことにされる、その意味では改悪であったと言えます。

自分は通勤でバスを利用していましたので、自動的に一定額に到達しある程度はプレミアの恩恵を受けることができましたが、週に1度程度しか利用しない人にとってはぼ現金利用のようなものではなかったかと思われます。その時点でも大改悪であったわけですが、今回その制度そのものがなくなってしまい、ICカードを使っても現金利用にほぼ等しい状態となってしまいました。現金は10円単位に対し、ICカードは1円単位なので、料金帯によっては数円程度得をする程度です。東京、横浜、川崎などの均一料金区間では現金とICカードの料金に差分がないため、ICカードを使うメリットは失われたと考えております(キャッシュレスという基本は除いて)。

なるほど、コロナ禍によって外出の機会が減り、それに比例してバス利用も減少するから収益を確保するためのやむを得ない手段でした、というならまだ分かります。ですが、理由をICカードの普及のためですなどと論理のすり替えを堂々と行って自らの行為を正当化しようとする関東バス事業者の姿勢には甚だ疑問を持たざるを得ません

正直言って、バス特が廃止されてからバス利用する機会はめっきり減りました。メリットがありませんからね。地域によってはバス路線しか交通手段がないため、仕方なくバスを利用する人もいるでしょう。ですが、自分は意図的にバス利用を避けるようになりました。幸いJRなどを使えばほぼ代替手段となるからです。それは果たしてバス事業者にとってメリットであったのか?小金を惜しんで大金を逃しているのでは?そうでないという判断なら、別にそれに反駁する理由もありませんので、どうぞご自由にと言いたいです。

システム的にお金がかかるわけではないし(バス特の付与をON/Offするだけですからね)、できれば復活してほしいのですけれど。考えてみれば、鉄道なら座ることができるけどバスだとかなり前から並ばないと座れないので、そう言う意味でもメリットは薄いですし、何より運賃が高い!それでも使ってあげたのは、バス特があったからですよ。それを投げ捨ててメリットがあったのか。あったんでしょうね。ならば勝手にしてください。結論としては弱いでしょうか。ですが、それ以上にコメントもありませんので。