大回り乗車実践編

大都市近郊区間は、初めに東京、大阪に設定されましたが、後に福岡、最近は新潟、仙台にも設定されました。この大都市近郊区間内では実際の乗車経路にかかわらず最短距離で運賃が計算されます。と言うことは、隣の駅に向かって遠回りすれば元が取れる、いやお得に旅ができるということになります。もちろん、途中で改札を出ることはできませんので、一般的な旅の定義とは外れるかもしれません。

ただ、列車に乗っていたい、位置ゲーなどでとにかく移動距離を稼ぎたいという目的であれば、十分叶えることはできます。かつては、改札の中にあるのは売店(キヨスク)、立ち食いそば屋さん、各種自動販売機ぐらいで、改札から出ない旅はある意味苦行でした。ですが、今では駅ナカというやつが充実していて、大きな駅であれば食事やお買い物などいろいろ用を足すことができます。便利な時代になったものです。

近年は交通系ICカード(Suicaなど)のエリア拡大により、大都市近郊区間が異常成長を遂げています。ですが、いわゆる大回り乗車は、かつて130円旅行(大阪では120円旅行)と呼ばれていたものが本流であると信じていますので、以下最短きっぷで回れる大回り乗車のモデルコースを紹介したいと思います。大都市近郊区間とは言え、松本(東京近郊)や播州赤穂(大阪近郊)から飛んでくるのは、せいぜい終夜運転チャレンジ(大晦日から元日にかけては、終夜運転の都合により当日有効のきっぷが実質2日間使える、それを利用して普段あり得ない距離を移動すること)ぐらいしかメリットがないと思っていますので。スタート、ゴールはあくまで一例ですので、下記のコースのどこからスタートしてもよいかと思います。

【東京近郊区間】
東京⇒新日本橋
東京~市川塩浜~南船橋~西船橋~千葉~蘇我~安房鴨川~大網~成東~松岸~成田~我孫子~友部~小山~新前橋~高崎~倉賀野~高麗川~大宮~南浦和~新松戸~日暮里~池袋~赤羽~武蔵浦和~府中本町~立川~拝島~八王子~橋本~茅ヶ崎~大船~根岸~横浜~鶴見~浜川崎~尻手~武蔵小杉~品川~代々木~御茶ノ水~神田~秋葉原~錦糸町~新日本橋
これがたぶん最長経路かと思われます。距離は964.3キロ!とても1日では回れまいと思って調べてみると、うむむ、始発から頑張っても1日目は高崎辺り(八高線)で終了、終夜運転を考慮して2日目は高崎発とすると(八高線が終夜運転するとは思えないので)ゴールの新日本橋に到着するのは17時前。一応土休日ダイヤで検証を行った結果ですが、まあ体力が保たないでしょうね。

【大阪近郊区間】
実は、最長経路としては塚口~加島が有名ですが(昔自分でプランニングして後輩にやらせたことはありますが)、あくまで最短きっぷにこだわりたいので、そういうチートはここでは書きません。
新大阪⇒東淀川
新大阪~尼崎~京橋~天王寺~和歌山~高田~桜井~奈良~久宝寺~放出~木津~柘植~草津~米原~近江塩津~山科~東淀川
西のループを捨てるのはもったいない?と思いつつ、これでも556.9キロ。これなら1日で回れるでしょう。最長経路も1日で回れたので。始発はちょっとかわいそうなので、新大阪6時発でシミュレートすると東淀川到着は22時前。関西は比較的新快速などの速達列車が充実してますが、それを台無しにする関西本線(加茂~亀山間)、草津線、そして近江塩津の壁。まあ、現実的なルートではないでしょうか。

【福岡近郊区間】
博多⇒吉塚
博多~原田~桂川~新飯塚~田川後藤寺~城野~西小倉~香椎~長者原~吉塚
え、初乗り170円もするのかよ?それはともかく、淋しいエリアですね。距離は、166.8キロ。博多を7時台に出発すると、吉塚着は14時前。ちょっと遅い昼ご飯の時間ですね。ただし、待ち時間が異常に長い気がします。ちなみに、福岡に関しては大都市近郊区間にありながら廃線になった路線がいくつかあるのです。勝田線、添田線、田川線、糸田線、伊田線、漆生線、上山田線がご存命であったらもう少し長くなったはずなんですけどね。田川線、糸田線、伊田線は線路は残っていますが、もはやJRではありませんので。

【新潟近郊区間】
関屋⇒白山
関屋~柏崎~長岡~新津~新発田~新潟~白山
迷う要素のない簡単なループです。駅間が基本的に長いので最短距離の区間を探す以外に悩むところはないです。距離は220.4キロ。ちょっと長いかな。関屋を7時以降に出ると、白山に着くのは14時前。2周ぐらいできそうだな。

【仙台近郊区間】
榴ヶ岡⇒仙台
榴ヶ岡~石巻~小牛田~新庄~(新幹線不可)~福島~仙台
悩みどころは仙台から小牛田の辺りでしょうか。それ以外はただループ区間を回るだけです。福島~新庄間に運転する特別急行列車(原文ママ)が大都市近郊区間に含まれないので、そこがネックです。距離は397.3キロ。榴ヶ岡を7時台に出発すると、仙台着は20時過ぎ。ただし、途中で陸羽東線の臨時列車快速湯けむり号を利用した場合の時刻なので、その次の列車に乗ると仙台着は23時30分近くに。改札から出られないので温泉でくつろぐなんてこともできません(鳴子温泉駅の足湯は改札外なんですよ)。地味に疲れる旅になりそうですね。

ところで、東京や大阪のルートでは時々乗り換えが複雑なフェーズがあると思います。さて、乗り過ごしてしまったらどうすれば良いのか?諦めて実際の乗車運賃を払わなければいけないのでしょうか?微妙なところですが、とりあえず係員(駅員または乗務員)に乗り過ごしたと言い張りましょう!以下の条文により救済されるはずです。
第291条
旅客(定期乗車券又は普通回数乗車券を使用する旅客を除く。)が、乗車券面に表示された区間外に誤って乗車した場合において、係員がその事実を認定したときは、その乗車券の有効期間内であるときに限って、最近の列車(急行列車を除く。)によって、その誤乗区間について、無賃送還の取扱いをする。
第291条の2
前項の取扱いをする場合の誤乗区間については、別に旅客運賃・料金を収受しない。
通常は普通のきっぷを持っていて、降りる駅(乗換駅含む、以下同じ)を過ぎてしまった場合や、降りる駅に止まらない快速に乗ってしまった場合の救済措置なのですが、たぶん認めてもらえるのではないかと。ただし、Suica利用にこれが適用されるかは微妙なところです(ICカードには振替輸送などの優遇措置はありません)。まあ、大丈夫なのではないかと。

もちろんですが、降りる駅を通り過ぎて、それまでの経路をちゃんと説明できないとその駅までの運賃を請求される可能性もゼロではありません。大回り乗車はJR的には推奨されないし、ちっともありがたい利用法ではないので、こちらも理論武装の必要があると思います。それ故、大都市近郊区間内の路線図を完全に把握する必要があるわけです。念のため、予め経路を計画して問題がないか確認することをお勧めします。では良い旅を!?

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