職場の思い出(その3)

前の現場の惨状については、お伝えした通りですが、実はもう一つの懸念事項に悩まされていたことも、一つの事実です。それは何かというと、ほぼ同時期に入った若手のこと。そうです、自分がベテランとしてしっかり育成しなければと思っていたあの若手のことです。

年齢は20代半ば。いわゆるゆとり世代ってやつです。別に自分はゆとり世代がどうとかそんなに気にするタイプではないのですが、彼は個人的に問題のあるやつでした。経験はと言うと、前職が約1年ほどで機器の設定作業がメインだったみたいです。つまり、手順書通りにやればそれほど難しい作業ではなかったようです。ただ、その時に休みがちだったり遅刻が多かったりで、現場でも問題となりこちらへ流れてきたようでした。

最初の印象は、おとなしくて真面目そうな好青年(まだ死語じゃないですよね?)、そんなに問題があるようには見えなかったのですが。ただ、一緒に仕事をして会話する中で、違和感が日に日に募っていくのを感じました。勤怠は特に問題はありませんでした。最後の方は体調を崩しがちでしたが。ただ、前職で遅刻が多かったり休んだりした理由は、給料が安すぎて生活できないので会社に黙って副業(深夜バイト)をしていたからだったようです。そういうところは、まず会社に相談すべきだと思うのですが。それも常識を疑う一面ではあります。

それと、社会人としてというより一人の大人としての自覚に欠ける面もありました。普通先輩の話って、多少忙しくても聞くものでしょう。自分たちはそれが当たり前だと思っていましたが。しかし、彼はたいていうっとうしそうなリアクションを見せました。スキルアップのために勉強しろと言っても、表面的な返事はいいものの勉強する様子はありませんでした。また、それほど経験がある、仕事ができるわけでもないのに、ともすれば仕切ろうとするところが見られました。年齢や経験が近くて対等の立場なら分かるんですが、スキルも経験もない若造に勝手な振る舞いをされるのは気分のいいものではありません。しかも、その点を指摘すると逆ギレするというさらに厄介な面も見せていました。

肝心の業務はと言うと、経験値の低さは明らかでした。ですが、現場の作業の流れとして、基本的な手順書がありそれに沿って作業すれば何とかなるという世界でした。それが悪かったのか、どうやら彼は手順書に書いてあることができるだけで仕事ができると錯覚していたようです。手順書というものは、だいたいにおいてその通りに作業すれば誰でもできるように作ってあるものです。それができたからと言って、しょせん現場の作業員のレベルを超えるものではありません。さらには、手順書に書いてない想定外の事象が起きると、たちまちパニックを引き起こしておかしくなりました。日頃随分と強気な(生意気な)言動を見せる割に、とんでもないお豆腐メンタルだったとは。。。この辺りでさすがにサジを投げかけていましたが。

それでも、自分や周りの技術者で彼を一人前のエンジニアに育成しなければいけない、そう思っていました。ところが、彼には(我々が期待するほどの)仕事への情熱もなかったみたいです。成長スピードは人それぞれです。でもやる気があればきっといつかは一人前になれる。そう信じて我々は教育をするわけです。しかし、ある時この業界を目指した理由とか仕事に対する思いを尋ねてみました。すると、本当は別の主力の業務に就くところだったが適性検査で落ちてしまった、それでこちらの業界に入ってきた、そして明言はしなかったものの仕方なくやってるんだという気持ちは伝わってきました。自分としては、きっかけはどうあれこの世界で頑張っていきます!という言葉を期待していたのですが、その期待はあっさり裏切られました。

こうなってはもはや我々の手の届くところには彼はいないんだなと認識せざるを得ません。自分のような経験者が離れていき、現場にはもはや彼に教えられる人間はいない、彼は自分は仕事ができると過信しているけれどまた想定外の事象で体調を崩すかパニックになる。その姿が容易に想像されますが、残念だけどもう我々は君を助けることはできないよ。今の現場では絶対に放置プレイになるから、まだ教育(OJT)できそうな現場に飛ばすみたいですけど、長くは保たんだろうな。担当営業は1年ぐらいはやってもらわないとと言いましたが、自分の予想では1ヶ月保てばいい方だと思っています。

前述の話に戻りますけど、彼のスキルの低さ、経験のなさから問題が起きて、あのチームリーダーやべえ、あいつを呼び戻せ!って叫ぶ姿を想像するのも楽しいですが、そういう事態になっても助けられない(正確には助ける気がない)し、正直言って彼には救いの手をさしのべる価値がないと判断しました。どんな人にも向き不向きはあります、だからこの業界にこだわらず広い視野で適職を探してみたらと思います。たぶん、給料はだいぶ下がる(今の水準から上がることはない)でしょうけど。

前職の最終日、早く帰れたので昔の職場の人と飲んでいた話をしましたが、その人も20代半ばです。上記の彼と同世代ですが、彼ほど不遜で傲慢で身の程知らずではないです。やっぱり彼が特殊なんだな、それが確認できただけでもよかったと思いました。

職場の思い出(その2)

あの職場の問題点は色々あることを挙げてきましたが、その一つとしてあったのが資格取得の推奨。いや、強要だな。俺たちは技術者集団だから、資格を持っていないといけない、だから取得計画を明らかにして取得せよと。それはあくまでチームリーダーの個人的な趣味です。

資格なんて取ればいいじゃん。そう思われるかもしれません。ですが、対象になるのは国家資格ではないです。国家資格なら受験料は数千円程度、しかも1度取得すればそれが消えることはほぼありません。ですが、チームリーダーが強要するのはベンダー試験の方なのです。ベンダー試験というのはベンダー(MS、Cisco、Oracleとか)が個別に作った技術認定資格のことです。某社の場合、これは受験料が4万円前後もするのです。つまり失敗するとダメージがでかい。あまり受けたくない試験です。業界未経験であれば、その資格をひっさげて己のスキルを認めさせ、就職、転職で有利になることができます。ですが、自分のように業界で一定の経験を積み業務をこなすスキルがある程度認められた者にとっては、あまり必要のないものです。

しかもそれを自社の社員に言うのなら、まだ分かります。ですが、自分たちのようなSES(準委託契約って言うらしいです。細かいことは知りません)の人間に対しても、資格取得を強要(あえてこの言葉を使わせてください)するのはいかがなものか、そして当然ながら受験料の補助なんてありませんよ。お金がかかるのが問題なら相談に乗りますなんて抜かしましたが、何をしてくれるのか。どうせ、取得期限を多少融通してやるぐらいのことしかしないでしょう。こちらは高い受験料と、費用対効果(ぶっちゃけて言えば給料が上がるのかよということ)の面から渋っているんですけどね。とにかく頭おかCというのが我々(過去の職場で築いた人脈も含めて)の共通認識です。

ですが、一旦乗りかかったところでやめるのも癪なので、この試験については意地でも取得してやろうと思っています。あなた(あのグループリーダーのこと)が逃した魚は大きかったんだ、と後悔させるためです。いわば自分のプライドを懸けた戦いと言えるでしょう。ですが、あまりに負担が大きい。破産しないように気を付けないと、何をしてるんだか分からなくなってしまう。そこだけは注意したいと思います。勉強することは嫌いではないので、まあ楽しくやってます。お財布事情を考えなければ。

現場の問題はこれだけに留まりません。だから厄介なのですが。次はもう一つの懸念点についてお話ししたいと思います。

職場の思い出(その1)

さて、今までの業界経験の中でワースト3に入ることは間違いないひどい職場からようやく解放されました。次の職場はと言うと、8月の初めに面談をして、そちらに決まるかと思ったら、受け入れが遅くなるなんて言われたようで、派遣か契約社員ならともかく、正社員を長期間遊ばせるわけにいかないと会社から言われてしまい、あわてて次の面接を受けることになりました。そこでは、自分の経験を買ってくれて、いろいろ仕事は多岐に渡りそうですが、自分のスキルを発揮できそうなところでしたので、期待が持てました。さらに、なんと即日(!)採用が決まったみたいで、これはねー、素直に喜んでいいのか、それとも炎上してるのか不安を覚えます。とにかく、9月からも仕事にあぶれることはなくなったわけです。

一方の現場ですけど、お盆休み期間中に長い休みを取れたので、少しはリフレッシュできました。ただ、休み明けの現地作業のメンバーからは外されました。あいつだと不安だから、もう少し慣れた人に行かせると。自分に対する信頼度が低いから(でなかったらクビにしませんよね)ある程度は想像できましたが、あまり気分のよいものではありません。

それと最後の大きな仕事として、納入機器の検査があったのですが、手順書を渡されたなり放置されて、例によって自分なりに考えて作業していたのですが、後になっていろんな人に作業ログを検査させて(簡単に言えばたらい回しです)、それであれがダメ、これがダメと集中砲火を喰らうことになったのは、部分的に自分の作業もまずかったのかもしれないけれど、やり方がフェアじゃないですね。いきなり、2日フルでかからないと終わらない作業を押しつけておいて、もちろん適切な説明もないまま作業をやらせて、後から集団で攻撃してくるって、チーム体制としてどうなの?そういうものなのか、あんたらは。そう思わずにはいられませんでした。こんな体制で破綻しないのは、古参メンバーがしっかりしてるからでしょう。ですが、それは新規メンバーにとっての地獄を意味するのではと思います。自分がそんなに無能であるとは思わないけど、不十分な説明に苦労しました。後から新規メンバーを入れても、同じ憂き目に遭うことは目に見えています。

最後の日にリーダーがいれば挨拶しようと(まあ、社会人としてのマナー以外の要素はゼロですよ)、事務所に向かったのですがあいにく不在だったので、作業PCを返却して、そのまま卒業と相成りました。定時を過ぎて、そのリーダーから、「不十分な説明で申し訳なかった」というメッセージが来ましたが、本当にそう思っているのかなあ。これまでの彼の言動から、とても信用できないんですけど。

最終日は、作業PCと入館証を返却する都合で、いつもより早い時間に職場を辞することができました。これからどうしよう。次の職場が決まっているから、電車に飛び込むことは避けられたな。なんてぼんやりと考えてたら、昔の職場の後輩から連絡があり、業後に飲みませんかと言われたので、一緒に食事をしました。その時に、酒の肴にあの職場の惨状をいろいろ語ったわけですが。まあ、そうですね、あの職場が異常だったということが分かって安心しました。自分の思い過ごしじゃなかった!

前に書きましたけど、若手が職場に残りました。実は自分が細かいフォローをして彼が何とか仕事をできるような体制を整えていたのですが、そしてレビューなどでリーダーや上位のチームリーダーの攻撃を防波堤のごとく一身に受けていたのですが、それがなくなることをあの若いのはどう思っているんでしょうか。チームリーダーも昔のエピソードみたいに、「しまった、あいつがいないとこの若手使い物にならねえ」と気付いて慌てふためくのでしょうか。前のベテランは自社待機だったから復帰できたけど、自分は新しい職場に配属になるからもう行けないよ。余談ですが、あの現場は9月からさらに忙しくなるとか。そんな状況で頼れるベテランを切るなんて、余程自信がおありなんでしょうな。お手並み拝見と行きましょう。